I.      虐待防止に関する基本的考え方

当事業所では利用者への虐待は人権侵害であり犯罪行為という認識のもと、高齢者虐待防止法の理念に基づき人々の尊厳の保持と人格の尊重を重視し、権利利益の擁護に資することを目的に虐待の防止とともに早期発見と早期対応に努め、虐待に該当する次の行為は行わない。具体的な虐待の類型は別添１参照のこと。

【虐待の定義】

①     身体的虐待：暴力行為等で身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある行為を加えること。また正当な理由なく身体を拘束すること。

②     介護・世話の放棄責任：利用者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置その他の利用者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

③     心理的虐待：利用者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応、著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

④     性的虐待：利用者にわいせつな行為をすること、またはわいせつな行為をさせること。

⑤     経済的虐待：利用者の財産を不当に処分すること、不当に財務上の利益を得ること。

 

II.     虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項

1.      当事業所では虐待発生防止に努める観点から、「虐待防止検討委員会」を組成する。本委員会運営責任者は当事業所の所長とし、当事業所の職員を「虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者」とする。

2.      テレビ会議等オンラインミーティングでの開催も可とする。

3.      虐待防止委員検討委員会は必要に応じて招集開催する。

4.      虐待防止委員会の議題は以下の議題から当該担当者が提示する。

①     虐待防止委員会の組織に関すること

②     虐待防止のための指針の整備に関すること

③     虐待の防止のための職員研修の内容に関すること

④     虐待等について職員が相談・報告できる体制整備に関すること

⑤     職員が虐待等を把握した場合、市町村へ報告が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること

⑥     虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる確実な再発防止策に関すること

⑦     再発防止策を講じた際にその効果に対する効果に関すること

 

III.    虐待防止のための職員研修に関する基本指針

1.      職員に対する虐待の防止のための研修の内容は虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、本指針に基づき虐待防止を徹底する。

2.      研修は次の項目を含むものとする。

①     高齢者虐待防止法の基本的考え方

②     高齢者権利擁護事業/成年後見制度

③     虐待の種類と発生リスク

④     早期発見・事実確認と報告等の手順

⑤     発生した場合の改善策

3.      研修は年2回以上行う。新規採用時には必ず虐待防止のための研修を実施する。

4.      研修の実施内容は研修資料・実施概要・出席者等を記録し、電磁的記録等により保存する。

 

IV.    虐待またはその疑い（以下、虐待等）が発生した場合の対応方法に関する基本方針

1.      虐待等が発生した場合には速やかに市町村に報告するとともに、その要因の除去に努める。客観的な事実確認の結果、虐待者が職員等であったことが判明した場合には役職位の以下を問わず厳正に対処する。

2.      緊急性の高い事案の場合、市町村および警察等の協力を仰ぎ、被虐待者の権利と生命の保全を優先する。

 

V.     虐待等が発生した場合の相談・報告体制

1.      職員等が他の職員等による利用者への虐待を発見した場合、担当者に報告する。虐待者が担当者本人であった場合は他の上席者等に相談します。

2.      担当者は苦情相談窓口を通じて相談や上記職員等から相談および報告があった場合は報告を行った者の権利が不当に侵害されないよう細心の注意を払った上で虐待等を行った当人に事実確認を行う。虐待者が担当者の場合は他の上席者が担当者を代行する。また必要に応じ関係者から事情を確認する。これらの確認の経緯は時系列で概要を整理する。

3.      事実確認の結果、虐待等の事象が事実であることが確認された場合は虐待者に対応の改善を求め、就業規則等に則り必要な措置を講じます。

4.      上記の対応を行ったにもかかわらず、改善されない場合や緊急性が高いと判断される場合は市町村の窓口等外部機関に相談をする。

5.      事実確認を行った内容や虐待等が発生した経緯等を踏まえ、虐待防止検討委員会において当該事案を検証し、原因究明と再発防止策を併せて市町村に報告する。

6.      必要に応じ関係機関や地域住民等に対し説明と報告を行う。

 

VI.    成年後見制度の利用支援

利用者またはご家族に対し、利用可能な成年後見制度について説明し、その求めに応じ社会福祉協議会等の適切な窓口を案内する等の支援を行う。

VII.   虐待等に係る苦情解決方法

1.      苦情受付担当者は虐待等の苦情相談の内容を速やかに苦情解決責任者に報告する。

2.      苦情相談窓口に寄せられた内容は相談者の個人情報の取り扱いに留意し、当該者に不利益が生じないよう細心の注意を払う。

3.      対応の流れは第Ⅴ章虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項に依るものとする。

4.      苦情相談窓口に寄せられた内容は相談者にその顛末と対応を報告する。

 

VIII.  当指針の閲覧について

利用者はいつでも本指針を閲覧することができ、また当事業所ホームページにおいていつでも閲覧することができる。

 

IX.    その他

第3に定める研修会のほか、各地区社会福祉協議会や老人福祉施設協議会等により提供される虐待防止に関する研修等には積極的に参画し、利用者の権利擁護とサービスの質を低下させないよう常に研鑽を図る。

 

附則

この指針は令和6年 4月1日より施行する。